四方山話
第16話「時の流れ」
今回の話題は海での出来事ではないのです。あまり海へ行ってないので・・・・・・。
私が海で生き物を探し始めてもう20年近くなります。結婚をして子どもも産まれて・・・・と生活の環境は大きく変わりました。子どもが小さい時は海へ行けない日が多くなりました。
独身時代毎週の休みのたびに行っていたのに、海へ行くのは「子どもが保育園に行っている」「妻が仕事でいない」「私は仕事が休み」の3条件がそろった日にこっそり行くようになっていました。
そんな都合の良い日はほとんど存在しないが!
ホームグラウンドにしていた所も、工事が始まり、海水浴場になり、そしてとうとう駐車料金まで取るようになってしまった。もう行きにくい。新しい場所を探すのは今となってはなかなか難しい。最近変な人が多いので、いいおっさんが泳ぎもせずぶらぶらと人が少ない所できょろきょろしていると変な人に間違えられる。(いやじゅうぶん変な人になっている)
昨年、子どもがある程度大きくなったので一緒に行けると思っていた矢先、人間ドッグでひっかっかってしまった。
入院、手術とあっという間の出来事だった。まだ体調は完全ではない。でも、久しぶりに海に行きたいという思いは強くなる。
昔を懐かしむのは年をとった証拠か?
海へ行って楽しみたい方へ。
「行けるときに行っておかないとダメです。いつまでも好きなときに行けると思ったら大間違い。楽しめるときにたっぷりと楽しんで下さい。」
第15話「3本の・・・」
みなさんは魚を捕まえるとき網を何本持っていきますか?私は、3本持って出かけます。もちろんいっぺんには使えませんが(使うのは2本ずつです)3種類の網があると便利です。
◎私は、最初一番安い虫取りアミを使っていました。「細長い魚がいるぞ。」「ヨウジウオというのじゃないかな?」そーっとアミを近づけて・・・「えいっ。」「やったとれた。」”チャプン!!”
アミの目が大きすぎて逃がしてしまいました。(T_T)
◎次の時、アミの目が小さいアミを買いました。「今日はこれで大丈夫。いっぱい捕まえるぞ。」「おっ、カワハギだ。泳ぐの速いなあ。」思いっきりアミを動かすと”グニャ”
今度は、水がアミから抜けず、水圧で折れ曲がってしまいました。(T_T)
◎ある時は、「青い魚がいるぞ。何だ?(後からソラスズメダイだとわかりました)捕まえたいなあ。」追いかけていくと、だんだん深いところに泳いでいきます。手を伸ばして「えいっ。・・・・届かない。」潜ろうにも体が浮いて潜れません。ソラスズメはゆうゆうとアミの下を泳いでいます。
目の前にしながら捕まえられませんでした。(T_T)
1本ずつではどれも使いにくいですが、ねらう魚や場所を考えていろいろと組み合わせると、驚くべき威力を発揮します。
というわけで、今では「目の粗いアミ」、「目の細かいアミ」、「柄が伸縮するアミ」の3本を使い分けながら、魚を追っかけています。
第14話「二魚追うものは・・・」
今はそうでもないのですが、生き物を捕まえはじめた最初の頃は見る魚見る魚どれもが珍しいものでした。
岩場での事。「お、ハゼだ。」そ〜っと近づいて・・・「ん?変な顔。イソギンポだ。」って今度はそっちをねらう。網を一本後ろで待ちかまえようと動かすと、今度はそちらの方から目の前をスーッと黄色い生き物が。「ナベカだ!」もうイソギンポの事は忘れてそっちに夢中です。ナベカって結構速くて捕まえにくいんですよ。(と私は思う。)
そのナベカを追って歩いていくと、砂地の足下で、ふわ〜と舞い上がるものが・・・「ヒラメだ〜。」 十数分ぐらい後を追い後一歩と言うところで深いところに逃げられる。こんな経験は数え切れないぐらいあります。
(砂が舞い上がりヒラメだと思って追いかけ捕まえて、砂が網から落ち出てきたのはコチだったというのもあります。何のために大物をあきらめたのか・・(T_T)))
目の前にイシダイの幼魚とアミメハギ(どちらもちっちゃくてかわいいんです。水そうに入れるとこれがまた楽しいんです。)がいると、二本持っている網を、右側と左側からそれぞれに狙いを定め、そ〜〜っと近づけて、「えいっ。」・・・・・・一匹ずつ追っていっても逃げられるのですから、いっぺんに捕まえようとしても、結果は火を見るより明らかです。
「あ〜あ。一匹だけにしとけば。」といつも後悔します。
採集をはじめる前に優先順位を決めておくといいですね。私は、@タツノオトシゴ Aチョウチョウウオ Bソラススメダイ・・・・というように決めています。でも、実際目の前にすると「ひょっとすると捕まえられるかな。」とか、順位の中に入っていない魚(イザリウオなんか見たこともない)がいたりすると、また同じ失敗をくり返すような気がします。
みなさん、くれぐれも欲張らず楽しく採集できるようにしましょう。そうすれば、いつかきっと大物をGETできるかもしれません。
第13話「く・くるしい・・・酸素を」
捕まえた魚を長時間かけて持ち帰るのはなかなか難しいです。 幸いにも電池式エアーポンプの取り付けられるクーラーボックスを買っていたのでブクブクさせながら車のトランクに入れています。
しかし、最初の頃は捕まえた魚は全部持ち帰ろうとしていたので、クーラーボックスでは足りません。安いプラケースに山ほど入れました。すると、帰った頃にはぷかぷか浮いているではありませんか。当たり前ですね。狭いところにぎゅうぎゅう詰めですから酸素が足りなくなったのです。きっと魚たちは「苦しいよう。酸素がないよう。息ができないよう。」というような思いをしていたのでしょう。なんか殺すために捕まえたような・・・・。「持ち帰って飼おうというのなら、生かして連れて帰る努力をしなくてはならない」と思いいろいろ試してみました。
さらにクーラーボックスを買うような余裕がないので、発泡スチロールのケースに穴をあけ、そこにエアーポンプを取り付けたり、たくさんビニール袋を用意して、1匹ずつ入れ酸素ボンベで酸素を入れたり・・・・。
(でも一番は「責任を持って飼えるだけしか、持ち帰らない」ということでしょうね)
最近「酸素の出る石」なるものをホームセンターで発見しました。あるというのは聞いていたのですが、今まではさすがに田舎なのでお店に置いてなかったのです。あるということは魚などを捕まえて持って帰る人が増えたということでしょうか。しかし、だんだん便利になっていきますね。出費も安くてすむし。(電池式エアーポンプも何年かは使えるのですがさすがに海水なので安物だと中のモーターがさびて使いものにならなくなりますので結局お金がかかります)
早速買って準備OKなのですが、まだ使う機会がありません。いつになれば海に行けるのか・・・・
第12話「魅惑の世界!」それとも「魅惑の世界?」
私の視力は非常に悪い。おかげで海に行っても困ることばかり。(第10話参照)
しかし、ついに度付きマスクを手に入れました。なんときれいに海中が見えることか!
「黄色い魚・・・ナベカだ」「あの貝から赤い触角が見える・・・ヤドカリだ」「ここの岩にはウミウシがいる」「遠くでは小さい魚が泳いでいる」
今まで見えなかった世界が見えるようになりました。
こうして波に揺られて、見ているだけで感動の世界です。捕まえなくても「満足、満足。」
深く潜っているわけではありませんが、ダイビングをする人の気持ちが少しはわかった様な気がします。
(深いところにはまた違った感動があるんでしょうね)
金額的には決して安い物ではありません。しかし、それだけのお金を出しても「手に入れてよかった」「もっと早く知っていればなあ」と思われて仕方ありません。
でも、同時にいやな物も見えだしました。花火のかす、割れたガラスびん、釣り糸・・・・・。なんとまあ、ゴミの多いことか!
もちろん以前から空き缶など見つけていましたが、よりいっそうたくさんのゴミも見えるのです。
特に、ガラスは小さい子どももいるので、絶対捨ててはならない物です。
みんななんでこんなにゴミを捨てるのでしょう?私も含めこういったマナーは守っていきたいものです。
ゴミはきちんと持ち帰ろう
最後になりましたが、度付きマスクなるものをを教えてくださった皆様、そして津山でも手に入れることができるのを教えてくださったりゅうぐうのつかいさん。本当にありがとうございました。新しい世界を体験することができました。
第11話「あ〜した天気にな・・・るかなあ?」
「弁当忘れても傘忘れるな!」
山陰にはこんな言葉があります。よく雨が降ります。また天気が変わりやすく急に雨が降ったりする事が少なくありません。
「今日の降水確率は10%?かさどうしょうかな」今ならかさを持たずに出かける確率も、山陰では迷ってしまいました。
朝出かける前に、現地の天気予報を電話で確認していきます。(今はインターネットを使えば便利ですね)
今回は、天候に関するお話です。(ちなみに場所は山陰に限らずいろいろな場所です)
こんな事がありました。
- その1:津山は雲一つない晴天、行き先の天気予報も晴れ。しかし、峠を越え海岸に近づくにしたがって、パラパラと雨が降ってきます。海に着いたときは、車から降りられないほどのふりかたです。そのままあきらめて帰るはめになります。
- その2:波の高さも大事な要素です。高いときは、防波堤で囲まれた場所、そうでないときは外洋に面した場所と行き先を変えることもあります。電話では、「波は0m」とのこと、行ってみると「ザバーン、ザバーン」と近寄るのもこわいくらいの波です。「どこが0mなんだ・・・。」こんな時はそそくさと場所を変えます。(逆もありますよ。4mの予報で波が無く穏やかで静かな時とか)
- その3:海で泳ぐだけなら、多少の雨(小雨とかも)は関係ありません。水面に雨が落ちて、水中が見えにくくなります。荷物はすべてびしょびしょです。(海の家は使ってないですから)昔のゴミ袋(黒とか青のやつです)を雨よけにして使っています。とても便利なんですが、近所の人が本物のゴミと間違えて捨てられそうになったことも。
でも、天気予報はあくまでも”予報”、波の高さも観測地・場所によって違うのも当たり前ですね。(地震なんかも絶対揺れたのに新聞記事では震度0とかなったりしましたから)
今は参考程度に考えています。
私の裸眼視力は両眼とも0.05ぐらいで0.1もありません。普段は眼鏡を使用していてコンタクトは使っていません。この視力が魚捕りの時非常に困るのです。
魚捕りに行って水中メガネを使うのですが、私の使っているものは眼鏡は使用できません。眼鏡をはずすとほとんど見えないので、ごみ(海草等も)と魚の区別がつきにくいのです。「魚だ」と思いそっと近づき、あみで捕まえ「やった」と喜んでもよく見ると海草の切れはしでがっかりする事も少なくありません。
それでも、大きい魚はわかるのですが、小さい魚、特にじっとしている魚は、かなり近くまで行って「魚だ。」とわかることが多いのです。そういうときに限って捕まえる準備をした時には、すでに逃げられてしまった後ということになります。
そこで、最近は度付きゴーグルを買ってみたのですが、今までの水中メガネのつもりで使っていたら、鼻から思いきり海水を吸い込んで大変なことになりました。しかも注意書きで、プールのみ使用して下さいとあるので、深く潜ることもできないし(もともとそんなに潜れませんが・・・)と使いにくいです。
度付ゴーグルのそばには、シンクロで使うノースキャップ(と言うんでしょうか)なる鼻栓がありましたが恥ずかしくて、海で使う勇気はありません。
コンタクトにして海で潜る気もしません。(わがまま言わなかったら良いんでしょうね)
眼鏡をかけたまま鼻まで覆える水中メガネってないんでしょうか?あっても値段が高いと買うつもりはないので、「このまま苦労して捕まえようかな」とあきらめています。
- この話を載せた後、いろいろな方より、ダイビングショップで度付きメガネが手に入る事を教えていただきました。どうもありがとうございました。
第9話「海水との闘い」
当然ですが海水には塩分が含まれています。
最初の年いい気になって魚をたくさん捕まえてきたのはいいですが、水そうが足りなくて古いスチール枠の水そうを使いました。数カ月後見事にさびてしまい置いていた台は汚れるし、水そうもぼろぼろで二度と使えない状態になってしまいました。
網もわく等が鉄製のものが多いです。釣竿なら不精な私でも使用後は真水で洗いますが、網はそのままにしておくことが多く、さびてしまいます。特につらかったのは、二段式の柄で伸びる網を使ったときでした。魚を追いかけもう一歩で捕まえられるというときに、水圧に負けて柄が折れてしまい逃がしてしまいました。外から見るとコーティングしてあるのでなんでもないですが、柄の内側がさびていて折れたのです。
以前海の近くに住んでいたとき、車もさびました。車に乗っていて「何か音がうるさいな」と思って見てみるとマフラーがありません。付け根からぽっきりと折れています。修理に出すとお店の人は「完全にさびてますね。ここらの人は洗車の時にマフラーもしっかり洗うんですよ。」と教えてくれました。
見えないところもどんどんさびていきます。ドアをあけようと押さえたらメリメリという音がして穴があいてしまいました。強く押したらどんどん壊れていきます。最後の半年は穴だらけの車ですごすことになりました。津山に帰ってきて買いかえようと下取りに出したら、「海の近くで使われた車ですからねえ。これでは、いくらにもなりません。」と言われ結局廃車になりました。(穴の空き放題の車ですから当たり前ですね)今はシーズンオフには念入りに洗車しています。
”海水は鉄をさびさせる”当たり前と言えばその通りで「そんな事もわからないのか」と言う声が聞こえてきそうですが、私は、こういう失敗を繰り返しながら勉強していきました。
第8話「海の恐怖 その3 〜静かな場所〜」
シーズン中の海水浴場では採集はしにくいです。大勢の人がパシャパシャして魚の姿はありません。アミを持って楽しく遊んでいる中に入ってじゃまするのも勇気がいります。釣りのポイントでもぐろうものなら釣り人に白い目で見られます。(当たり前ですね。私でも釣っているときそんな事されたら怒ります。)
ですからまだ水温の低い6月、クラゲの出る8月下旬、シーズンオフになった9月頃に行くことが多いです。また、海水浴シーズンなら、駐車料金もとられない、そして人が来ない場所をさがして行きます。
周りに何人か他の人がいる場所はいいのですが、だれもいない所に1人あるいは2人で行った時は、非常に怖くなります。
さらわれるような波にはあったことはないですが、港の近くで船が通った時などは、急に高い波が来たりして危険です。本当か嘘かわかりませんがこんな話を聞きました。「日本海に釣りに行ったときは、絶対に海に背を向けるな。海がおだやかでも急に高い波が来ることがある。海から目を離すな。」
もぐったまま魚を追いかけて、気がついたらかなり沖へ出ていたという事もあります。
もぐっていた場所のすぐ近くで、サメの子どもが釣れたと聞いたときも怖かったです。
どの場合も人がいれば、「誰か助けてくれるだろう。」という安心感でのびのび採集できますが、1人だとすぐ「もう帰ろう。」という気になってしまいます。
絶対安全だとわかっている場所、何度も行ってよく知っている場所以外は、何人か人のいる場所へ行きましょう。その方が知らない人と話もできたりして楽しいです。
第7話「足りない水そう」
採集・飼育の魅力にとりつかれた私の悩みは水そうの数です。最初は採れるものは全て持って帰っていました。もちろん水そうは足りません。プラケースを使ってもまだ足りません。大きめの発泡スチロールを水そう代わりにしたこともあります。持ち帰りが多いと帰る前に死ぬのも多いですが、持って帰ってからもよく死んでしまいました。
それで、きちんと飼えそうな分だけ持って帰るようにしていますが、いろいろな種類がいますので、食べられないように、別々の水そうに入れなくてはなりません。(タコなんかは1匹で1つの水そうを使っていました。)
しかし、水そうを買おうにもそんなにお金がありません。(私が使っている60cm水そうはホームセンターで買った2980円のものです。)そんなとき、塩化ビニル板をもらいました。さっそく大きい水そう(横1m・高さ70cm)を作ろうと作業に取りかかりましたが、素人の作るものです。水もれが何度もあり、その度にパテで補修し、出来上がりは見栄えの悪いものでした。
とりあえず完成したので、水を入れていくと形が変わっていくではありませんか。水の力はすごいです。(いい勉強をしました)仕方ないので木の棒2本使って前後からはさみこみました。それでも水は半分ぐらいしか入りませんでしたが幼魚など小さい生き物を入れて飼いました。水替えもほとんどできませんでしたが水の汚れもほとんどなく、1年間飼えました。
しかし、水そうは素人が簡単に作れるものではない、安い水そうを探して買うしかできないなあとつくづく感じました。
今年(1997年)みたいにほとんど海に行けず、魚の数が少ないと水そうがあまるので困らないのですが、やはり寂しいです。
水そうの簡単な作り方、安い水そうの入手法等ご存知の方情報お待ちしております。
第6話「海の恐怖 その2 〜足元にご注意〜」
磯で採集しているとよくけがをします。岩で手や足を切ることもありますがそんなに多くありません。前にお話ししましたカキが原因第1位です。裸足・素手で行こうものなら海から出てきたときは傷だらけです。
砂地でも安心できません。時々ガラスの破片を見つけます。(ゴミを海に捨てる人がいます。こんな事は安全の為、環境の為にやめてほしいものです。)
魚取りを始めた最初の年のことです。砂地で魚を探している時、友人が何か見つけたようです。いかつい、変な顔をした魚です。大きさは20cmぐらいでしょうか。砂にもぐってじっとしていたのを捕まえたらしいのです。2人で「何だろうか」「変な魚じゃなあ」等と話しながら帰りました。帰って調べてみるとどうもオコゼらしいのです。しかも「毒がある」「危険」という文字があります。
私もその辺りを裸足で歩き回っていたのです。もし気づかずに踏んでいたらと急に怖くなってきました。その後から海に入るときは使い古しの運動靴を必ず履くようにしています。しかし水を吸って重くなるし、砂が中に入って気持ち悪くてよくありません。
そんな事もあり、昨年やっとマリンシューズなるものを買いました。ゴム底で滑らず、メッシュなので重くなく、こんな事ならもっと早く買っておけばよかったと思っています。
しかし、いくらゴム底でも滑るところも多いです。シューズを過信せず気を付けましょう。
第5話「幻のチョウチョウウオ」
海水魚を飼っていくうちに、「珍しい魚を捕まえて飼いたい」という気持ちがだんだん強くなっていきます。いつも同じ場所では捕れる魚も限られてきます。海岸沿いに車を走らせ新しい場所を探すことも増えてきました。これは、島根県東部から中部にかけて新しいポイント探しに行ったときのことです。
国道九号線から海へ出ようとわき道へ入っていきました。すると道はだんだん狭くなり、山道になっていきます。対向車もかわせないような道です。かなり奥に入ったので、バックで引き返そうとは思いません。こうなると行けるところまで行くしかありませんがだんだん不安になります。しかしやっとのことで舗装されて少し大きい道に出ることができました。右手には海が見えます。がけの下の方に小さい漁港が見えます。下る道を見つけてそこに向かいました。漁港には海水浴客も釣り人も人はいません。周りは山が迫っています。小さいお店が一件あります。(道に迷って人気のない港にたどり着きました。何かの昔見たホラー映画を思い出してしまいました。)
とりあえずお店でここの漁業権を聞くことにしました。「魚なんかを捕りたいのですがいいですか?」「何でとるんですか?」「アミです」「投げるんですか」「いいえ、たもです。」「”たも?”ですか。どうぞどうぞ」いちいち聞くなという風に笑われてしまいました。
とりあえず許しは得たので海をのぞいてみます。すると図鑑や水族館でしか見たことない黄色の美しいチョウチョウウオが一匹泳いでいるではありませんか。すぐ車に戻って道具を持っていきました。しかしチョウチョウウオは、コンクリートの穴の中に隠れてしまいます。出てくるのをじっと待っていますがなかなか出てきません。あきらめて他のところで魚をとって戻ると出てきています。チョウチョウウオが!しかしまた穴の中。
こんな事を繰り返しているうちに日も暮れてきました。津山まで帰らなければならないので、帰ることにしました。
あたりは暗くなり、来た道を帰っているつもりがどうも別の道のようです。やっとの事で国道まで出ることができ帰りました。しかしあのチョウチョウウオのことが忘れられず数日後もう一度同じ場所へ行こうとしました。しかし行きも迷い帰りも迷った道です。再びあの漁港にはたどり着けませんでした。
あれ以来チョウチョウウオを見たことはありません。チョウチョウウオを飼うのは夢となってしまいました。
どなたか、こんな私にチョウチョウウオのいる場所を教えて下さい。(兵庫から島根の日本海か瀬戸内海しか行けないけど)
第4話「おいしい拾い物」
夏の海にはたくさんの人がいます。海水浴客、釣り人、ただ海を見に来た人。そして・・・カキを採っている人もいます。
とある海岸には天然のカキがテトラポットについていました。(このカキのおかげで私は手や足に数え切れないほどの怪我をしましたがこの話はまたの機会に。)そして、バールと袋を持った人が海へ潜りどっさりとカキを持って岸へ戻ってきます。
私たちのようにいい大人がアミを持って魚を追い回しているのは珍しいのでいろいろな方から声をかけられるのですが、ある日カキ採りのおじさんとも話をする機会がありました。そしてそのおじさんが帰り際に「カキを底に落としているから採りなさい」と言って下さいました。
それならばバールいりません。アミを持ってすくえばいいだけです。私の友人がそれを採ってきました。そして海岸でカキパーティを開いて腹一杯おいしくいただきました。(この後この場所は工事してなくなってしまいました。)
まさに”たなからぼたもち”海に行っていろんな人とお友達になるとおいしいことがあるかもしれません。
注意:カキやサザエなどの貝類は稚貝を育てたりして養殖している所がかなりあります。当然そこでは採ることは禁止されています。
採ってもいい場所かどうか必ず確認しましょう。
私の住んでいるところは、岡山県の北部にある津山市です。周りを山に囲まれ幼い頃から海はあこがれの場所でした。南の瀬戸内海にしても北の日本海にしても車で片道2時間ぐらいかかります特に夏の海水浴シーズンは渋滞して数時間は覚悟しなければなりません。
私が魚を飼い始めた頃、タダのものをしっかり使おうと思って海から海水を汲んで来ていました。それも最初はペットボトルです。しかし1本1.5リットルないし2リットルですから十数本用意してもせいぜい20リットルぐらいしかなりません。小さい水そうの時はそれでも十分足りていたのですが60cm水そうにしてからはとても足りません。その上口の小さいペットボトルでは、1本海水を入れるのにかなり時間がかかります。周りの人からは「何してんだろう。」と変な目で見られていたに違いありません。
次にポリタンクです。タダをあきらめて少し出費する事にしました。(たいした出費ではないですが。)ひとつ20リットルのものを4つ用意しました。なんて楽に水汲みができることか。「お金を惜しまず早くポリタンクにしておけばよかった。」とつくづく感じました。
しかし、これでもまだ問題があったのです。それは冬です。水がとても冷たい。手が切れそうな冷たさです。しかもできるだけ外海に面した水を汲もうとしたのですが、波が高いときは怖いです。本当に怖いのです。仕方ないので防波堤の内側でバケツを使って何度も汲み上げますがかなり疲れます。
と言うことで、ついに人工海水を使うことにしました。これは本当に楽です。私は、楽なことを覚えるともう前には戻りません。それからは使う海水の90%以上は人工海水です。しかし、水そうがの数が、増えるに従って財布の中身が・・・・。(汲みに行くガソリン代の方が安い)
天然の海水にしても、人工海水にしても、私にとってはとても貴重なものです。
私がホームグラウンドにしている日本海では、お盆過ぎからクラゲが現れます。(主にアンドンクラゲ。方言でイラと言うらしい)しかし、魚を捕るには海水浴客の少なくなるこの時期が最適なのです。
釣りなど1度もしたことのない、網だけで魚取りをしていた頃の話です。カワハギの群を見つけ、絶対捕まえてやろうとねらっていました。何度か挑戦したある日、その日も30分ぐらいねばっていましたが、波と一体となり揺られ続け体も冷え切った頃、ついにカワハギを捕まえたのです。喜び勇んで岸に走って帰る途中その事件は起こったのです。
脇腹にものすごい電流が流れ激痛に襲われたのです。周囲を見ると、なんとクラゲが群になって浮いているのです。あまりの嬉しさに気づかず群に突っ込んで行ったのです。後でゆっくり見てみると、ものすごいミミズばれになっていました。そして数週間は、はれもひかずかゆくて苦しみました。
それ以後、海に入るときは小さめのTシャツが、私の必須アイテムとなりました。(でも首や足はいまだに刺されています。)
第1話「飛べないトビウオ」
あれは、魚取りを始めて2年目の夏でした。海岸沿いに20cmぐらいの魚がゆっくりと1匹で泳いでいました。
「胸びれが大きいなあ・・・。えっ?トビウオだ。」
次の瞬間、私は両手に網を持ち海に入ろうとしていました。逃がさないように5mぐらい離れた所から海に入り、沖の方からゆっくりとそして静かに近づいて行きました。しかしトビウオも網が近づくと捕まるまいと必死です。右へ左へと泳いで逃げます。私の方も沖へ逃さないよう同じように右へ左へ走ります。(水深は1.5mで足は届きますが、水の抵抗でかなり疲れます。)20分間の格闘の末やっと捕まえることができました。
「何でこんな所にいるのだろう?」大海を飛び回るイメージしかないので考えれば考えるほど不思議です。(今も疑問です。)
しかし、とりあえず持ち帰って飼ってみることにしました。エアーポンプで酸素を供給しながら急いで帰り60cm水槽に入れました。たった1匹のトビウオ水槽です。ところが、長い胸びれを左右に広げ水面にぷかぷか浮いているだけで泳ぎもしません。(当たり前ですね。狭すぎるんです。)えさもいろいろやってみましたが、何も食べる様子はありません。そしてとうとう1ヶ月後死んでしまいました。
やはり広い広い海を泳ぎ回らなくては生きられないのでしょう。その時に、”飼うのに適さない魚は取らないようにしよう”と心に誓いました。